いったりきたり日記

最近移動も多く、ものわすれもひどいのであったこと感じたことを忘れないようになるべくまめに書きたいと思いますが、そううまくは続かないと思います。

最先端デジタルガジェットを触って試せる小売店、B8ta(べーた)見てきました。

米国で人気だという小売店、B8taに行ってきました。

「べーた」と読むそうです。かっこええですね。
概要についてはこちらの東洋経済ONLINEの記事がわかりやすいです。

toyokeizai.net

引用しておくと、

「b8ta」(ベータ)は、その名のとおり、製品を販売しながら、ベータテストを店頭で行える画期的な小売店だ。現在、サンフランシスコやニューヨークなど9拠点を構える。
(たぶんいまはもっと増えてます)



整然と並ぶテーブルの上に、動作する製品が1つずつ専用の白い台の上に陳列され、その製品紹介が表示されたタブレットが用意されている。
店員は「いらっしゃいませ」と声こそかけるが、その場を動かず、にこやかに笑いかけるだけ。後から聞くと、こうした店員の所作にも意味があることがわかる。
店内では、置かれている製品に自由に触れて、試すことができる。

で、

「b8taで商品を販売することで、企業は、興味を持った顧客数、気づきを得た顧客数、実際に手に取って試した顧客数、そして販売数の定量的なデータを得ることができます。同時に、店員との会話や顧客からの質問、購入意向、買わない理由は何か、といった定性的なデータを、接客から24時間以内にSlackを通じてメーカーにフィードバックします」

なんだそうです(以上、東洋経済の記事から)。

つまり、メーカーにとっては販売チャネルでもあり、
マーケティング調査の場でもある、ということですね。
以前は販売金額からのコミッションをとっていたそうなのですが、
いまは製品を置く「場所代」をとっているだけとのこと。
よりマーケティング調査の場としての意味合いを強めている、ということなんだと思います。

私はSXSW開催中の平日夕方にオースティンの店舗に行き、
翌週にはサンフランシスコの店舗に行きました。

 オースティンの場合は町の北部に新しく造成された
ショッピングモールと住宅、ホテルが複合した新しい町の一角に
出店しています。

 

1階部分が店舗になっていて上の階が高級マンションになっている
新しい街区。

B8taオースティン店

 

サンフランシスコ店
立地は東京でいう青山骨董通り的なところですかね。
銀座のようにめちゃめちゃメジャーではなくて
おしゃれなブティックとかが立ち並んでいる通りの一角です。

サンフランシスコ店。

 

オースティン店の店内の様子。

 

一番売れ筋だというおしゃれな電動歯ブラシ

 

室内で育てられる葉っぱ。

 

電動スケートボード

 

自動窓拭き。

 

googlehomeやalexa対応商品も数多く展示されていましたが、
かならずしもばりばりのIoT/デジタルデバイスってわけでもないんですよね。
よくもわるくもいろいろあります。

 

 

ちなみに私が一番ほしかったのはこれです。
たぶん電動工具を改造したものだと思うけど、
ものすごい爆音を響かせる強烈なマッサージ器。

 

よかったところ。

まず、店員のお兄さんの説明がわかりやすい。
「これってなんに使うの?」と聞くと
とっても端的に教えてくれる。
これ、メーカーの説明だとなかなか難しいんですよね。
「すっごい説明わかりやすくて助かるわー。
 でも商品の入れ替えがあるから理解するのも大変でしょ?」ってきくと
「まあ大変だけどもともと僕ギークだからこういう
ガジェット結構好きなんだよね」とのこと。
ちなみにお兄さんはテキサス大の院生なんだそうです。

「購入はウェブでね」という仕組み、
かつ、B8taそのものが売上のコミッションをとるビジネスモデルではないので
おそらく店員さんも客に買わせたらその分給料があがる、という仕組みではない
と思います。

その結果、よい意味で説明が「ひとごと感」があって、
なんとなく客観的な気がする。

リアル店舗なのに、「売ることが目的ではない」というていで
店員さんがふるまうはしりはアップルストアの「ジーニアスバー」なのかと
思いますが、
B8taのほうがビジネスモデルのバックボーンがあるので
より信頼できる気がします。

タブレットで表示される概要の説明もシンプルでわかりやすいです。

 

B8taで買うか買わないか。

興味をひかれる商品はたくさんありました。
ただ、口コミは表示されない、
かつ結局お店から直接もって帰ってすぐ使えるわけではないので
B8taのお店にきて即決で買うか、というと買わないと思います。
商品名を覚えておいて、あとから口コミなどもチェックして購買する。
ただ、これまで触れなかった商品を実際にさわって、
店員さんと話しながら理解を深められる、という体験はすばらしいもので、
メーカーにとってオンライン以外にB8taのようなチャネルを持つ意味は
すごくあるな、と思いました。

 

B8taは日本で成功するか

さて、東洋経済のインタビューをみると、B8taは日本での出店にも
興味を示しているようです。
B8ta、東京にもできてほしいなあ、と思いつつも感じるのは、
これ、別に日本の企業がやったらだめなん?ってことです。
来店者の観察にしても、展示方法にしても
特にものすごい技術が使われているわけではないので
真似できるような気もするのです。

たとえばイオンがやることにして
イオンモールのいいところに店舗を出してやればいいじゃない。と。
まあ製品のラインナップ的にはイオンじゃなくて
もうちょっと都心型の、たとえば渋谷で東急がやったらうまくいかないのかしら、と。

 

真似するのは意外と難しい

実は同じようなコンセプトのお店を
アメリカの流通大手の「Target」がやっていました。
サンフランシスコの最中心部、
ユニオンスクエアからも歩いて5分くらいのところにある
大型店舗の1階の1角で最新のIoT機器を展示しています。

「Target Open House」と名付けてすでに2015年ごろから
やってるようですが、
なんでしょうか。ちょっと裏寂れた感じがしました。



おいている商品のラインナップはB8taとほとんどおなじ。

 

ただ、商品説明のディスプレイの反応がいまいちでいちいちフリーズします。

 

店員さんの距離のとりかたも私からしたらいまいちでした。
私は結構熱心にいろいろな製品を触っていたのですが
ほとんど話しかけてこないでぶらぶらしています。
いくつか質問もしてみたのですが、詳しいことはわからないみたいでした。

 

一等地のモールの中にあるので集客は見込めるのでは
ないかと思うのですが、店内は閑古鳥でした。
「Target Open House」をみるにつけ、
B8taの完成度の高さを理解できました。
非常にシンプルに思える商品説明も、
常にメンテナンスしてさくさく動かすのは以外と難しい。
なにより、店員として、ギークでそこそこコミュ力があるお兄さんを
採用して育成するのも大変なのでしょう。

もし日本で展開する場合はB8taがやるにしても、
日本企業がやるにしてもここをやりきれるかどうかが
勝負どころになる気がします。

 

B8taがやるのが有利か日系企業がやるのが有利か

出品する企業側にしてみれば
B8ta側がグローバルに出店を伸ばし続ければ
リアル店舗での製品テストの結果を
グローバルに取得できることになって、
エリアごとにマーケティング戦略を立てるのが楽そうです。

一方、日本の既存流通がやれば、この店舗以外の
購買履歴などもとれるのでターゲットについて
より深い分析ができるかもしれません。

また、オンラインとオフラインを融合した設計が必要で、
場所も必要、人材育成もそこそこ大変なテスト店舗の創設は
外資よりもローカル資本のほうが強みがあるポイントも多いかと思います。
もし日本で独自にやるなら急いでやったほうがいいと思いました。