いったりきたり日記

最近移動も多く、ものわすれもひどいのであったこと感じたことを忘れないようになるべくまめに書きたいと思いますが、そううまくは続かないと思います。

東京砂漠でパラスポーツ観戦はオアシスだった件

家族で車いすバスケの日本選手権を見に行ってきました。
奥さんが仕事であとから合流だったので
今日は5才児、2才児+ベビーカーに私、でまず出陣。2人はパラスポーツ初観戦。
我が家から飛田給の会場まではなんやかんやで1時間半くらいかかるし、
大規模イベントは急に混んだりするのでちょっと不安だなー、とも
思ってましたが、天気もよかったのでまあのんびりいこうかな、ということで行ってみました。
 
味の素スタジアムがある京王線の「飛田給」駅からこどもの足で徒歩10分くらい。

 
味の素スタジアムの横に新しい屋内施設があります。
 
会場に入るのにチケットはいりません。無料です。結構でっかい会場だけに
「いいのかなー?」という気がしますが、
スポンサーのサントリーのペットボトルを配ってくれたり、三菱電機の方が応援用のポンポンをくれたりします。みた感じ「スタッフ」感がなくて、たぶん社員の方がでてきてくれて自ら手配り。手作り感あふれる感じです。

 
今日土曜日は全国大会の準決勝。明日が決勝。この週末ががおそらく国内の車いすバスケットボールでは一番盛り上がる日ですね。
僕らは準決勝第1試合の宮城MAXと名古屋のワールドバスケットクラブの試合を観戦しました。

 
15:00の試合スタートの30分くらい前には会場につきましたが、
アリーナ席はほぼ埋まっていました。盛り上がってるなー。

でも絶対座れない、というほどではなく、1番前の席をみつけてなんとか着席。

ありがたいなー、と思ったのは、まあ当然ながら場内がかなり綿密にユニバーサル対応していていろんなところにベビーカーで行けるところ。
最近はパラスポーツに限らずどのイベントもそのへんは考慮されていますが、
「あれ?途中まではエレベーターあったのに途中で行き止まりなの?じゃあそもそも最初からエレベーターでつれてくんなよ!」みたいなのが結構あります。
他にも「ああああ、ここはベビーカー畳んで、抱えて、2人がどっかいかないように
口酸っぱくして注意しながらおりゃおりゃーって進んでいかなくちゃならないのう」という場面もあって、精神も体力も削られることを覚悟していくのですが、
この日はさすが、というか、観戦の方も車いすの方が多いだけあって、導線もゆったりつくられているし、なにより「まあ、パラスポーツの大会なんだから大丈夫だろ」という安心感があります。基本みんなやさしいし。あとから関係者にきいたらこの日は特に親子連れが多かったみたいです。
 
ということで、試合開始。
基本的なルールはいわゆる通常のバスケットボールと一緒。
4クオーターで休憩時間も入れると全部でおよそ1時間15分ー20分だったかな。
バスケットボールはとにかくボールがネットにスポンってはいれば点が入るんだよ!
ということで子供も理解しやすかったようで、飽きずに楽しめました。
(ああ、ブログ書くと決めてたらちゃんと写真取るんだった)

車いすの選手たちがちょっと引くくらいの速さで走りまくってがつんがつんぶつかりあうのでこれは当然熱い。僕はバスケットボールはド素人なのですが、他にもいいなあ、と思うことがありました。

まず1つ目はその戦略性。

車いすバスケットボールの選手には各々障害レベルの重い者の順から1.0-4.5の持ち点が定められており、試合中コート上の5人の持ち点の合計が14.0を超えてはなりません。

車いすバスケットボールのルール | JWBF

https://www.jwbf.gr.jp/rule/

とのこと。障害が重い選手は動きに制限があるのでポイントゲッター的に動くのではなく、相手のポイントゲッターを止める動きを主にしたり、途中の選手交代で一気に相手の戦略の裏をかいたり。また、車いすバスケの場合、車いすが相手の動きを止める「壁」の役割も果たすので健常者同士の1on1と違って「すり抜け」が非常にやりにくいです。さらに、(それでもちょっと信じられないくらい素早いのですが)方向展開もしにくい。ゆえに、何手も先を読んだポジションニングをとれることが重要なんだなー、とわかりました。障害の重い選手がこのポジショニングの妙で大活躍してる。今日はそこまで細かくみられませんでしたが、タフながら非常に繊細であろう車いすを選手の特性や戦略にあわせて細かく調整するコート外のメカニックマン的な人の存在も重要なんだろうな、と思えます。どのチームもかつかつの選手数でやっているであろうなか、これらを総合して戦略を考える深さはいわゆる健常者のバスケットボールを上回ることもあるんじゃないかと素人ながら感じました。監督ってどんな人がやってるんだろう。めっちゃ頭がいい人なんだろうな。これ、「ウイイレ」みたいなゲームになったらはまる人続出しそう。

 

2つ目は応援の雰囲気。歴史があるメジャースポーツ、たとえばプロ野球Jリーグなんかはちゃんとした応援団ができていて、ものすごい大人数で、ある意味「様式美」と化した応援をします。車いすバスケも日本選手権の準決勝レベルまで来るチームには大企業のスポンサーがついていて、その社員の方も大勢で応援にきていたりするので大きな声援が送られます。でも、そこまで厳しい応援の「お約束」みたいなのはなくて、ある意味ゆるいし、その分みんな試合をきちんとみて試合の中味をみて、ナイスプレーで歓声があがったり、ため息をついたりするアットホームな一体感がとってもいいな、と思いました。
↓もらったポンポンで応援するのが楽しかったみたい。

去年平昌のパラリンピックに行って、地元韓国と日本のアイスホッケーの試合もみたのですが、そこの会場もとってもアットホームでした。日韓戦ですよ!サッカーなら血走りますよね?「おおおニッポン!ニッポン!」的な歌だったりウェーブだったりで忙しいし。でもパラリンピックでは自分の国のチームを応援しつつも、ちゃんとそれぞれのいいプレーには「すごいねーー」と隣の人と微笑み合いながら拍手する、という雰囲気があった。日本のパラリンピックはどうなるんだろうなあ。あんまり仕切りすぎないでこのアットホームさを残してほしいなあ、と思います。
 
3つ目は試合以外のお楽しみ。
いろんな体験ブースがあって、優しいお兄さんお姉さんが遊んでくれる!

はじめて車いすに乗った5才児。どう思ったんだろうなあ。

シュートは1回目も決まらなかったけど並び直して4周くらいしてたので楽しかったと思われます。

ここの体験会場には(ちょっとお名前は聞けずじまいだったのだけど)パラリンピックの銅メダリストの元選手もきてくださっていて、子供たちにメダルさわらせてくれたりもしました。これもいい思い出になったはず。
 
ということで車いすバスケ、パラスポーツ観戦初心者の方にもとってもおすすめです。
 
ああ、でもせっかくだから1つ。
まったくなんの縁もなく会場にきても選手やチームと自然につながりがつくれる仕組みとかがあればいいなあ。
今日の僕の場合は、うちの会社に4月から車いすバスケの第一人者の藤井郁美選手が正社員として入社!というビッグニュース

dentsudigital.co.jp

があって、当然藤井選手のいる宮城MAXを応援!ということに。面識はなかったですし、車いすバスケの知識もなかったのですがが、みんなでとりあえずは藤井選手に注目して応援してるうちに自然に選手や競技の魅力にとりつかれまして。
でもそういうつながりがなかったりする人もいるわけで。そんな人でも「まあとりあえずこの人に注目してみよう」みたいなことを一旦決めるとそこが入り口になったりするんじゃないかな、と。
そういえば僕はこどもの頃西武ライオンズが大好きで、毎日2時間、ラジオで「ライオンズナイター」を聞きながら寝る、という生活を送ってたんですが、なんでライオンズ好きになったのかなあ、と思いだしてみると、きっかけはたまたま買ってもらった「プロ野球チップス」のおまけのトレーディングカードだったんですよね。ほんとに偶然ライオンズの選手のカードが続けて出てきたのをこどもだから大事に持ってるうちにライオンズファンになったなあ、というのを思い出しました。
ということで、入場者には1枚か2枚ずつ、かっちょいいトレーディングカードを配る、とかだめですかね。その選手の得意技とかも書いてあって。「神速ターン」とか「千手観音ディフェンス」とか。もちろん今風にカードには公式サイトに行って選出のストーリーが詳しくわかるQRコードかなんか刷ってあって、LINEIDとか登録しとくとその選手が次に出る試合とか、練習見学できる日を案内してくれる、みたいな。CRM発想ですね。こんな感じで↓情報配信なども積極的にはじまるようなので

basketballking.jp

最高のコンタクトポイントである会場で、チームや選手とのいい出会いがあるといいな。僕もまたぜひ観に行きたいし、藤井選手以外にもどんな選手がいるのかきっかけがほしいなあ、と思った妄想でした。
 
とにかく、とっても楽しい小半日を過ごしました。
とかく東京でちっちゃい子連れで休日を過ごそうとなると、どこも激混み。電車移動では小柄なうちの娘が立ってると車体が揺れる度にどこかにふっとんでしまうのではないかとひやひやするので、せめて娘だけでも座らせてあげたいなあ、と思っても優先席はスマホに夢中なみなさまに専有されていてなかなか東京砂漠だなあ、と感じます。でも、今日の会場はみんながそっと譲り合うオトナでフレンドリーな雰囲気につつまれていてなんだかほっとしました。東京砂漠の中のオアシスや。 試合のすごさ、この場所にたどりつくまでの選手のストーリーを知るにつけ、自分も勇気をもらいました。がんばらないと。
 
またぜひ車いすバスケにいってみたいし、他のパラスポーツの大会もいってみたいなあと思います。