まち大講義メモ:都市の公共政策と法制度 第1回 都市計画の提案制度
明石達生先生。
東京都市大学 都市生活学部教授。
都市工学科を1984年卒業。建設省に。
都市計画課が長かった。30年のうち8年くらい。
横浜市でも都市計画をやった。
私が書いた都市計画法も結構ある。
再開発についての法律も20代のころの作品。
まち大設立時の立ち上げをやった。
当時国家公務員だったので無給で兼務にさせられた笑
シラバスの内容。
現在日本における都市政策のポジションと
その実現手段となる法と行政制度について。
まち大の講義って大きく分けると2種類ある。
1つはいろんな先生のオムニバス形式。
もう1つは、それをやるとなにか1つの分野を習得できる、ということ。
今講義は後者です。
講義では表面的な知識じゃなくて、根源的な理屈を説明するよー。
研修所なら知識でよい。ここは大学院。
都市はどうしたらよくなるのか?
大きく3つ。
1、優れた計画とリーダーシップ。→今どきは小学生しかいない。
今は次の2つのどっちか。もしくは中間。
2.誰かがあらかじめ決めない。市場の選択の蓄積。
行政は市場の失敗の除去に限定するべきもの
3.都市空間は公共空間。住民参加で行われる。
では、本日の主題。
・住民参加は巧妙に。でも、住民参加は古いよね。
だって、あくまで発案は行政だから。
・むしろ、都市計画を開かれたものにする。
「参加」ではなく、発議権を公式に開放するべき。
・都市計画のプロセスを社会的な調整と意思決定の場として
昨日させることが専門家を生かす道。
例えば、裁判。法律の専門家が2手に分かれて争う手伝いをしている。
裁く人もいる。そんなイメージ。
そんな話を例示を交えながら今シリーズでやっていきます。
●用途地域の役割。
・基盤施設のネットワーク、都市機能の配置と密度配分→機能的な都市活動
・相隣関係の観点。
建築基準法は「となりに迷惑をかけない」ためのもの。
どの用途地域でも「住宅は建てられる」というのは日本が独特。
●用途地域の規制の性格
・無補償で規制できる→最低限の基準だから
*土地型によって「最低限」は異なる。土地柄は都市計画が定める
・逆にいうと、「まちをよくしよう」というポジティブな発想は
含まれていない
●計画の段階構成
Plan for Vision 構想の計画。マスタープラン。 *非拘束的
Plan for Regulation 規制の計画。用途地域など。*受け身。規制力がある
Plan for Implementation 事業の計画。都市施設。市街地開発事業 *強制力ある。
●なぜスプロール現象、無秩序出店が起こるのか
・広域商圏の大型店は、ひとつの市が制限しても
規制のない周辺市区町村に出店して、結果として規制をした
自治体の商業機能が衰退してしまう。
・じゃあ、県でやればいいのでは?
・ドイツの「計画ないところに開発なし」って素敵ですよね。という
話がある
これは、計画さえあれば開発していいですよ、という発想。
ちなみにこれは連邦法が担保。
Bプランがつくられない限り開発が許可されない。
ショッピングセンターは中心地区や特別地区以外では建築できない。
自由にやっているところを規制する、というのは
地域振興したい自治体レベルではなかなかできないから!
英国でも基本は禁止で、都度解除する、という発想。
●英国と日本、どっちが分権的?
英国は自主条例制定権もない。日本は可能。
ただし、自治体の許可判断裁量の幅が極めて大きいのが英国。
日本の場合は基本自由。なので開発を制限するためには
自治体できめ細かく規制をかけるなど、相当の事前の努力が必要。
→日本では自治体の主体性に委ねているので都市計画行政が機能しないのでは?
●どうして都市計画変更はうまくいかないのか。
・チェーンストアの社長。増改築の必要。
・市長と懇意なので用途地域の変更を頼む。
→そこにいちいち対応していたらマスタープランの変更までしないと。。。
それはおおごと。
最大の問題は、行政のみが都市計画変更を発議しているからでは?
→都市計画の法廷発議権の民間に開放(2002年法改正)
●メッセージ
都市計画は Plan-"ning"です。
人々の行動をまちをよりよく方向へと自発的に向かわせる仕組み
(ゲームのルール)が重要なのではないか。
利己的な行動をとろうとすると、まちが自動的によくなってしまう、的な。
●質疑
Q.地権者の3分の2の同意。公平性をどう担保するのか
A.いまいちこれだ!という解決策がないんだなああ。。
地元でまとまらないところはできない、
まとまらないところはできない、それでいい。という考え方。
うまくまとめられないところは衰退する、というのは必然。
これを救うとしたら国が関与し続けるしかない。
Q.判断基準は?
A.基準をつくりたくない。基準じゃない説明責任を果たせないかな、と考えている。
Q.欧米では都市計画プランナーの資格があるが、日本ではないですもんね。
有識者はいるが自治体が任意で選んでいる。
A.アメリカもそのへんのど素人が判断してる。裁判の陪審員みたいな感じ。
ただし、そのとりまきには専門家がいる。第3者機関的な。
イギリスでは年間1-2万件くらい処理しているらしい。
日本ではとてもその体制がない。
アメリカでは市は「人が住んでるよ。そろそろ市にしてください」ということで
市になる。日本みたいに地図を区切っていくやりかたとは全然違うのよ。