いったりきたり日記

最近移動も多く、ものわすれもひどいのであったこと感じたことを忘れないようになるべくまめに書きたいと思いますが、そううまくは続かないと思います。

2日目レポート:上市町新天地エクスペリエンスデザインワークショップ 富山県上市町の移住・定住を考える。

 

富山県上市町の移住・定住を考える。

30名を超える町の有職者にお集まりいただき、

私たち電通のチームが普段様々な行かで取り組んでいる

「エクスペリエンスデザイン」の考え方を活用していただき、

この課題について徹底的に考えていきます。

第2回目は雰囲気もほぐれてきて、議論がとまらないことも。

最終回に向けてまだまだ考える難所は盛りだくさんですが、

取り急ぎ、2回目がどんな感じだったか、

レポーターの塩谷さんが報告をつくってくれたのでこちらに掲載します。

ちなみに1回目のレポートはこちら↓

takkaga.hatenablog.com

 

2日目レポート 

 

お茶の水女子大学人間文化創成科学研究科理学専攻

修士1年 塩谷祥加です。

 

7月20日、前回に引き続き富山県上市町にて

エクスペリエンスデザインを用いたワークショップを行いました。

テーマは「上市町を人が集まり続け、住み続ける町にする」こと。

今回も前回同様町役場の職員、民間企業の方、

地元の大学生などの30人がワークに参加してくださいました。

全3日程の2日目の様子をご紹介します。

 

今回はアイディア出しとそのブラッシュアップがメインとなりました。

 

まず前回の振り返りです。

前回は「お客様の体験」を「設計」するエクスペリエンスデザインを用いて、

ターゲットである移住・定住してくれそうな人の気持ちや行動をステップに分けました。

そして、それぞれに対しての施策や効果、問題を検討しました。

今回はその検討をもとに何が重要課題であるのかをブラッシュアップしていきます。

ターゲットは下記のA~Eです。

 

A : そろそろ持ち家・・富山県内ファミリー

B : できればこれからも地元で・・地元就職希望学校生

C : 自分のお店を持ちたい!新天地「起業の虎」

D : 子供は自然の中でのびのび育てたい子育て専門職ファミリー

E : 子育てファミリー引越し後

 

 

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ターゲットの気持ちを考えやすくするために用意した本

 

 

【ワーク3】前回の個人課題の共有(20分程度)

 

前回のワークショップの最後に、それぞれの宿題として

「ターゲットに近い人に何らかの形で取材する」こと、

「サービスプランの叩きを3~5つ考える」ことをやってくることになりました。

 

2日目はまず各チームごとに個人課題の共有を行いました。

友人に直接話を聞いたり、FAXを用いて取材をしたりと手段は様々でした。

中には5人もの人に聞き取り調査をした方もいて、

それぞれが1週間という短い中で取り組んでいらしたようです。

チーム内で共有しつつ、面白いと思った点は聞き手が付箋に記入し模造紙に貼りました。

 

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FAXでの返答(上)とサービスプラン/施策の案(下)

 

 

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個人課題を共有している様子

 

 

【ワーク4】カスタマージャーニーの精微化(50分程度)

 

[1]ターゲットの気持ちを模造紙2枚に整理(25分程度)

いよいよ前回発散した各ステップにおける施策や効果、問題を収束していく段階に入ります。

ここでは各ターゲットの気持ちを模造紙2枚に収まるように整理していきます。

整理する中でターゲットの気持ちを汲み取ったアイディアも出てきました。

例えば上市で子育てを考える移住者をターゲットにしたDチームでは

「町にどんな人がいるのか事前に知りたい」というターゲットの気持ちに対して

「移住手続きとセットで上市町を体験できるプランはどうか」というアイディアも出ていました。

 

[2]ステップに合わせてペイン・ゲイン・課題+施策案の整理(25分程度)

各チームともステップの見直しを行いました。

前回出したステップをさらに細分化し付箋に書き出して整理していました。

特に引越し後の子育てファミリーをターゲットにしたEチームにおいては、

子供の成長を細かく洗い出してその時々における親の気持ちを考えていました。

実際にお子さんをお持ちの方もいるようで、

子育て支援情報ってどうやって知るの?」「PTA活動の情報を知る機会が少ない」

というリアルな意見が多く挙がっていました。

 

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ターゲットの気持ちを整理している様子

 

 

【ワーク5】ワールドカフェ形式でのチーム間発表(25分程度)

 

チームごとのワークから、チーム間で混ざって情報を共有をすることで、

異なる立場からの意見により新たな気づきを得ることが可能です。

自分のチームに残った方はステップと課題を説明をし、

他のチームから来た方は感じたことを付箋に残していきました。

例えば上市町での起業を考えるCチームにおいての

「起業はできてもその後が続かないのでは」

という指摘に対して「確かに」「そうだよね」と頷く方がいたり、

自分の意見を述べる方がいたりと全員が課題について真剣に考え議論をしていました。

 

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ワールドカフェの様子 

 

 

【ワーク6】カスタマージャーニーのブラッシュアップ(60分程度)

 

[1]フィードバックの整理(15分程度)

ワールドカフェで得たフィードバックを有効活用すべく、

整理し参考にした上で重要な課題を見つけ出します。

貰ったフィードバックに対して、各自の考えを付箋に書き出していきました。

例えば

「上市で起業するメリットがよく分からない」

「そもそも上市が創業の選択肢に入っているのか」

というようなフィードバックに対して

「上市で起業したくなる理由を掘り起こすべき」

「起業対象者のニーズをもっと把握すべき」

といった個人の考えを付箋に書き出していました。

フィードバックによりこれまで見えていなかった課題も浮き彫りになったようです。

 

 

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付箋を整理しながら議論する様子

 

 

[2]重要課題の発見(25分程度)

この段階において,多くの課題の中から3つの重要な課題を決定します。

出た課題全てに対するアプローチを考えるのは大変な作業になるために、

ここでしっかり重要課題を考えます。

上市町への持ち家を考える富山県内の家族をターゲットにしたAチームでは、

「生活のイメージがわかない」「情報誌の情報が少ない」「子育て支援の内容が少ない」

というターゲットの気持ちをまとめたことで、

上市町に住むメリット情報が少ないのでは」

という重要課題を見つけ出していました。

他にも「団地開発が少なくPRできない」という課題も見つかりました。

また地元就職を考える学生をターゲットにしたBチームでは

「地元企業の情報が少ない」「そもそもやりたいことが定かではない学生もいる」

という現状に対して

「地元の企業やインターン情報をもっと県内外に発信すべき」

ということを重要課題としてまとめていました。

たくさんのアイディアをまとめるのは相当苦戦したようで、

多くの方が険しい表情を見せていましたが、

何個かに絞り出せると「これだ!」「ようやくまとまった」「やったー!」

とすっきりした表情で喜びを見せていました。

 

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絞り出された重要課題

 

 

[3]サービスプランを考える(25分程度)

課題が絞れたところで,その課題に対するサービスプランを提案するために、

他地域において既に行われている取り組みをブラッシュアップしていきます。

まずは各自で用意された本やネットで事例を調査し、

その調査結果を参考としてサービスプランを考えました。

そして時間が許す限り,そのプランをチーム内で共有しました。

 

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既存の取り組みを調査する様子

 

 

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疲れを見せず最後までいきいきと議論する様子

 

 

今回は課題を洗い出すことがメインとなりました。

重要なことは「上市ってなに?」と聞かれた時に「上市といえばこれ!」

と答えられる魅力を作ることです。

そのためには今回洗い出した課題をもとにして

シンボリックストーリーを考えることが重要となります。

 

次回までの個人課題は「上市のシンボリックストーリーを考える」ことです。

①[3]で共有したことをもとに、個人で重要課題ごとに2つづつプランのアイディアを考える

②そのアイディアを利用し上市のシンボルストーリーとその要素を合計4つ考える

以上の2つが宿題となりました。

 

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次回までの個人課題

 

 

感想(塩谷)

今回のワークショップ参加に伴い、私は初めて上市町の存在を知ることになりました。訪れてみてまず感じたのは人の温かさです。駅で挨拶してくれる方がいたり、飲食店でもたくさん話しかけていただいたりと、上市町の方にとっては当たり前な行動も、私にとっては温かく歓迎されているように感じました。東京にいると接客ですら作業に感じてしまうときがあります。地域内で蜜に繋がっているからこそ、外部の人間も感じられる人の温かさは、上市町の魅力の一つであると感じました。上市町に住んでいながら、地元の課題を見つけるというのは大変な作業であると思います。実は私は秋田県羽後町という良い所が少ない田舎の出身です。住んでいるときは町の魅力を感じることがなく、早く都会に出て行きたいという気持ちでいっぱいでした。地元の課題を見つけようと行動に出ることもなく、東京に引っ越してしまいました。一方で上市町の方々はしっかり地元と向き合っています。何もないから何もしないではなく、そこで何とかしようと行動に出ている姿を見ると、地元のために何もしてこなかった自分自身が恥ずかしくなってきました。今回のワークショップから、参加者全員の上市町を何とかしたいという想いがよく伝わってきました。年齢や職業関係なく、町を良くするために団結して考えることができるのは本当に素敵なことです。次回のワークショップで「上市町といえばこれ!」という何かが見つかって欲しいです。

今夏は忙しく秋田への帰省を考えていませんでしたが、今回の訪問を機に秋田に帰りたくなりました。東京で何年か過ごしたからこそ、改めて最近地元の魅力を感じています。すぐには無理でも、いずれ私も地元のために何か行動を起こしたいという思いが強くなりました。今回のワークショップへの参加は私にとってもいい刺激となりました。

 

 

具体的なアイデアをまとめていった最終回、3日目のレポートはこちらです↓

 

takkaga.hatenablog.com