いったりきたり日記

最近移動も多く、ものわすれもひどいのであったこと感じたことを忘れないようになるべくまめに書きたいと思いますが、そううまくは続かないと思います。

1日目レポート:上市町新天地エクスペリエンスデザインワークショップ

富山県上市町の移住・定住を考える。

つまり、人の人生を左右するような「おおごと」を どのようにしたら決断してもらえるか。

仕事、住まい、子育て、教育、ご近所コミュニティなどなどなど、 様々な側面から考える必要があります。

複雑なだけに、それぞれの分野でベストな施策を 実行しているつもりでも、
それぞれの「つながり」がなかったり、
いつのまにか、その施策を届けようとする人の 気持ちから離れたものに
なってしまっていたりすることも よくあるのではないか、と感じています。
 

そこで、上市町に関係する、民間・行政のあらゆる分野、
30名を超える町の有識者にお集まりいただき、
私たち電通のチームが普段様々な業界で取り組んでいる 「エクスペリエンスデザイン」の
考え方を活用していただき、 この課題について徹底的に考え、
施策を考案していく プロジェクトがはじまりました。

まず、全3回、ワークショップ形式で議論を深めていき、
最後は施策の実現までやり抜くお手伝いができればと思っています。

さっそく富山新聞北日本新聞にも取り上げていただきました。

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7月14日にワークショップの1回目が終わったばかりですが、
レポーターの松本くんが報告をつくってくれたので 取り急ぎこちらに掲載します。
松本君、1晩で仕上げてくれました。半端ないわ。。

 

(下記、松本くんのレポート) ------------------------------------------------

早稲田大学大学院創造理工学研究科経営システム工学専攻修士2年の松本です.


7月14日,富山県上市町にてエクスペリエンスデザインを用いたワークショップを行いました.テーマは「上市町を人が集まり続け,住み続ける町にする」こと.町役場の職員,民間企業の方,地元の大学生など30人の方々がワークに参加してくださいました.ワークショップは全3日程開催されますが,本日は初日の様子をご報告します.

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上市町役場企画課 課長代理 深川康志さん(左)と本ワークショップ企画の加形さん(右)


はじめに6人1チームのメンバー同士自己紹介したあとに,事前にお願いしておいたワークを共有しました.宿題は「上市町の良いところを3つ,もうちょっとだなと思うところを1つ考えてくる」というものでした.付箋に書いてきてもらい,壁にある模造紙に貼って内容を共有しました.
良いところでは「自然が多い」「水がおいしい」「景色がいい」「渋滞や待機児童など社会問題が少ない」などの意見があり,「もうちょっと」なところでは「本,CD屋がない」「ファミレスがない」「チェーン店がない」などが出ていました.こちらの事前ワークの内容は3日目で使います.

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自己紹介の様子


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事前ワーク共有の様子


続いて,ワークショップの企画をされた加形さんより,今回のワークショップに用いる「エクスペリエンスデザイン」の考え方を学びました.エクスペリエンスデザインとは,「お客さまの体験」を「設計」することであり,ターゲット(今回は移住・定住してくれそうな人)の気持ち・行動をステップに分け,それぞれどのような施策が行われ,どのような効果(もしくは問題)があるのか,1つずつ丁寧に検討しながら,ステップの連なりが一連の良い経験となるように改善を図っていく考え方のことです.ただ広告を出して「観光来てね!」だけで終わるのではなく,どうしたら実際に観光地まで来てくれるのか,満足してくれるのか,友だちに広めてくれるのか,リピートしてくれるのかなどを考えてストーリーを描いていくことです.
  今回はこの考え方を用いて,もっと多くの人に上市町に来てもらうための施策を考えていきます.しかし,多くの“人”と言ってもお父さん,独身の方,大学生など多種多様な方がおり,それぞれ行動する動機は異なります.そこで本ワークショップでは,チームA〜Eごとにターゲットを設定し,そのターゲットにしたがって行動ステップ(カスタマージャーニー)を考えていきます.各チームのターゲットは以下のようになっています.

 

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チームごとのターゲット


自己紹介が終わり,エクスペリエンスデザインの考え方も理解したところで,チームでのワークにとりかかりました.
【ワーク1】ターゲットのことを想像してみましょう!(10分程度)
チームごとに設定されたターゲットをより具体的に人物設定する「ペルソナ」の作成をしました.ペルソナでは,その人はどんなものが好きで,どういう趣味を持っているのかなど自分がなりきったつもりで想像して考えていきます.チームB「地元就活希望学校生」では,同じ班員の大学生に普段の生活を聞くなどしながら具体的な人物像を描いていました.また,「妻はデザイナー」「趣味はスポーツ観戦」など参加者みなターゲットになりきって考え,メンバーから「わかる!!」「あーいそう!」などとの声があがりながら共有していました.

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ターゲットを共有している様子

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チームで話し合ってイメージを膨らませている様子

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全員で各チームの内容を共有している様子


【ワーク2】カスタマージャーニーを作る(40分程度)
ターゲットが具体的になったところで,次にカスタマージャーニーを作りました.ターゲットが実際に上市町に移住してくるまでの行動ステップを考えていきます.そして各行動の時に感じる感情は何か,そこに課題はあるのかを深掘りしていきます.そうすることで,「このタイミングにこういう課題があるなら,こういうサービスプランの施策を打つことでターゲットに刺さるのではないか」という案が見えてきます.例えば,チームE「引越し後子育てファミリー」では,引っ越してから,ご近所さんへの挨拶はどんなお菓子を買ったら良いのだろうか,何軒まで挨拶するべきなのかという不安や疑問から周辺にどういうお店があるかわからないという困難があがり,それらに対してネットに情報がないなどの課題が表出してきました.そこで施策としてネットに引っ越し後のマニュアルを載せることやミシュランガイドのようなものを作成して周辺情報を提供したらどうだろうか,というアイデアが出てきていました.
  ディスカッションはメンバーが無意識に立ち上がって話してしまうほど盛り上がり,「子どもに友だちができるか」「寒いのかな」と言ったリアルな不安がバシバシ出てきていました.

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白熱する議論の様子

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付箋を何度も貼り直しながら行動ステップを作成している様子

今回のワークショップを通じて,参加者からは「漠然と『上市町に人を呼ぼう』と言っていたけど,こうやって考えてみると移住ってそう簡単ではないことがわかった」「ターゲットがぼんやりのままだと行動ステップが書けない.起業したいと言ってもどういう職なのかなどターゲット(移住する人)を具体的にすることが大切だと知った」「紙に付箋を貼ると何が問題なのか可視化できてよかった」などの声があがっていました. 次回2回目のワークショップへ向けて,各自設定したペルソナに近い人物を探し,実際にヒアリングをしてくること,そしてサービスプラン/施策を3〜5つ考えてくることが宿題となりました.

(松本感想)
僕は今回初めてワークショップの活動を見ました.参加する前は,日頃から議論していない社会人や大学生が集まってワークをして盛り上がるのかな,意見が出るのかなと心配していましたが,いざワークショップが始まってみるとそんな心配をしていたことが恥ずかしく思えるほど,アツい議論がかわされており,時間が足りない,ポストイットが足りない状態でした.
全員が真剣に自分の町のことを考えている姿はかっこよく,その姿を見ているだけでも「これだけアツいメンバーがいるなら町は元気なままでしょ!大丈夫だ!」と強く思えました.2回目,3回目のワークショップでさらに活発な議論が行われることを楽しみにしています.
最後に,僕は初めて上市町に行きました.細田守監督のアニメ映画『おおかみこどもの雨と雪』の舞台となった町と聞いていましたが,実際に行ってみると一番高い建物が6階建てということもあり,見晴らしが良く,きれいな景色はいつまでも見ていられました.町役場の方々も感じがよい方ばかりで懇親会も楽しかったです.絶対にプライベートで遊びに行こうと思いました.

 

課題の絞り込みを行った2日目のレポートはこちら↓です

takkaga.hatenablog.com